人民元と日本円の直接取引、結果は横森的中

人民元と日本円の直接取引、結果は横森的中

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元ヘッジファンドマネジャーの横森一輝が、世界経済・投資に関してあなたの疑問・質問に答えるポッドキャスティング

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vor 13 Jahren
今年6月に人民元と円の直接取引が開始されるにあたって「直接取引が広がれば 手数料の削減」などが期待されていました。あれから2ヶ月強経ちましたが、果たしてその結果はいかに?日経新聞の『期待』には反してに、横森予想がズバり的中しました また、この事例から持つべき安全な国際通貨がわかります。 人民元と日本円の直接取引、結果は横森的中 音声ダウンロード(MP3) [8月21日収録]   円と人民元の直接取引、予想ほど人気出ず [ウォールストリートジャーナル 8月22日] 6月に鳴り物入りで始まった円と人民元の直接取引の出来高が伸び悩んでいる。やはりドルを介した2段階取引が売買の大半を占めており、これに取って代われない状況が続いている。 トレーダーらは、ドルを介した方が簡単、安全なうえに安上がりなため伸びない理由は明快だという。 円と人民元の直接取引は大きな期待の中で始まった。日本の財務省の担当者らはドル仲介取引からの移行に対する期待を声高に語り、さらに直接取引は日中経済関係を一層進展させるものだと期待を表明した。マスコミ報道も力が入り、為替ブローカー会社も、直接取引に関連した新たなサービスを始めた。 しかし、こうした当初のキャンペーンは期待したほどの成果は出ず、直接取引自体も人民元全体の取引に小さなインパクトしか与えなかった。 大手邦銀のシニアディーラーは「報道は実情とは違っていて、お客様の誤解を解いてまわるのに本当に苦労した」と話す。 みずほコーポレート銀行によると、円と人民元の直接取引の1日の平均出来高は現在約50億円で6月当初の半分の水準という。日本銀行から7月に公表された資料によればドル円の1日当たりの出来高は1454億ドル(約11兆5400億円)で、足元にも及ばない数字にとどまっている。 人民元取引に関わる誤解とは、直接取引の方が人民元とドル、ドルと円という2段階の取引より自動的に安上がりになるはずという認識だ。ディーラー筋によると、この考え方は理論的には正しく、いずれ実態もそうなる可能性もあるが、現在の少ない出来高では、実質的には為替ブローカーの手数料となる売買の気配値のスプレッドが、ドルを介した取引のスプレッドより大きいため高くついてしまうことだ。 JPモルガン・チェースのチーフFXストラテジストの棚瀬順哉氏は「為替取引のコストは、1回の取引に対して定額の手数料が課されるのではなく、ビッド・オファーのスプレッドという形で発生する」と指摘する。 人民元と円の直接取引での大きなスプレッドは、低い出来高を反映しているともいえるが市場関係者にとってみれば「鶏が先か卵が先か」の古典的なジレンマの種となっている。 在京外資系銀行のシニアディーラーは「円と元の直接取引が、少なくともユーロ円くらいのマーケットサイズに育たないと使えない」と話す。 圧倒的な規模のドル円とユーロ円取引以外は、銀行間市場のトレーダーはオーストラリアやニュージーランドのドル、また英国ポンドといった人民元より大きな需要のある通貨に関しても円に対する取引では米ドルを仲介している。 国際通貨研究所の植田賢司上席研究員は、企業は人民元の取引高を増やすためもっと人民元決済を増やさなければならないし、そのためには関連の諸規制をより緩和することが必要だ、と話す。 日本の財務省統計によると、アジアに対する輸出は50%がドル、47%が円で決済される。これに対し人民元は今年6月までの輸出の0.4%でしか決済通貨として使われなかった。 日本企業は人民元決済はまだ何年も先の話だという。中国政府が人民元取引を制約しているためさまざまな複雑な規制があるためだ。これらの制約は通常の為替市場やオフショアの市場でも適用されるため、国際貿易で人民元を決済通貨にすることを難しくしている。 中国で広くビジネスを展開する小売業者の財務担当者は「元について調べているが、当面、決済に人民元を使う予定はない」と話している。

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