鉄鉱石の輸送船運賃が急落　中国で需要縮小

鋼材の原料に使う鉄鉱石を運ぶ「大型ばら積み船」の運賃が急落しています。 世界的な景気の減速が影響したことで、中国や欧州の鋼材需要が伸び悩んでいます。 これまで資源国のオーストラリア、カナダはリーマンショック後でも不動産ブームとなっていましたが、そろそろ中国の需要減はついに資源国は不況が襲いそうだ！ 中国の鋼材需要が縮小、資源国の経済崩壊となる？ 音声ダウンロード（MP3) [6月25日収録]   鉄鉱石の輸送船運賃が急落　中国で需要縮小 [日本経済新聞 6月23日] 鋼材の原料に使う鉄鉱石を運ぶ「大型ばら積み船」の運賃が急落している。世界的な景気の減速を反映し、中国や欧州の鋼材需要が伸び悩んでいる。一方で船舶の供給は急増し、指標となる用船料（船の賃料）は１カ月で６割下がった。影響は国内企業にも及ぶ。鉄鋼メーカーの輸送コストの軽減につながる一方、海運会社は大型船を処分するなどの対策をとり始めている。 大型ばら積み船の数は１年間で18％増え、供給過剰だ 最大級のばら積み船で、主に鉄鉱石を運ぶケープ型（積載重量17万トン級）の用船料（１日あたり、主要航路平均）は現在、3570ドルと５月中旬の直近の高値と比べ約６割安い。昨年12月の高値（３万2889ドル）の10分の１近くで、リーマン・ショック後の2008年12月以来の低水準だ。 世界景気の減速により輸送需要は縮小している。鉄鉱石の海上輸送量の６割を占める中国の輸入量は３～４月に前月比で減少。５月は反動もあり11％増えたが、足元は需要が急速に落ち込んでいるもようで、運賃下落に拍車がかかっている。 中国国内の建設向けの需要が伸び悩み、鋼材は供給過剰だ。中国の鉄鋼大手は建設・家電向け鋼板の販売価格を７月に４～５％引き下げる。港湾の鉄鉱石在庫は高水準で、今月に入り一段と増えている。「国内在庫の消費を優先し、輸入を控えている」（国内商社）。鉄鉱石価格も下落し、オーストラリア産の中国向け随時契約価格は４月に比べ９％安い。 債務危機に直面する欧州の鋼材需要も低迷し、ドイツやオランダの鉄鋼各社は減産に動いている。欧州向けは全体の輸送量の約１割を占める。「短期間で需要が増える見込みはない」（日本郵船の小笠原和夫経営委員） 一方、船舶の供給は大幅に増えている。リーマン・ショック前に発注した船の竣工が相次いでいるためだ。調査会社のトランプデータサービス（東京・千代田）によるとケープ型は５月末時点で世界で1450隻と前年同月比18％増えた。今年中にさらに150隻が供給される。 運賃下落の影響は国内企業にも広がっている。鉄鉱石の輸送費は最終的に新日本製鉄など鉄鋼メーカーが支払う。製造コストに占める輸送費の比率は小さいが、足元の運賃下落によりコスト負担は軽減されている。 一方、海運各社は大型ばら積み船の処分に動いている。商船三井は運賃下落に歯止めをかけようと、今年度中に最大20隻のケープ型船の廃船や停船を実施し、輸送能力を最大２割削減することを決めた。過去最大規模の輸送能力削減だ。これまでは竣工から23年以上たった船を廃船の対象としてきたが、15年以上の船も対象とする。日本郵船もケープ型船の輸送能力の１割弱にあたる10隻程度の減船を進める方針だ。川崎汽船は香港系商社のノーブル・グループとケープ型船の共同運航を始め、効率化により収益の改善を目指す。